由美は高校生の頃密かに好きだった男性が奥さんに先立たれた事を耳にした。
「あの人は高校生の頃私に好意を示してくれていた。『今でも君が好きだよ』こう言ってくれるかも」
大いなる期待を持って由美はこの男性に近づいた。
だが、現実は厳しかった。
「どちらさんでしたっけ」
とけげんそうな顔をして由美を見る。
「森川由美ですよ」
こう言っても、
「どっかで接点がありましたっけ」
と言うばかりである。
押し問答していると、
「私の彼氏をいじめないで」
と三十歳くらいの女性が由美にこう言った。
由美は笑いながら、
「娘さん」
と言葉をかけるとこの若い女性は、
「彼女ですよ」
と平然という。
そして、
「おばさん、帰ってよ」
と語気を荒げた。
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